健康診断のバリウム検査は拒否できる?|企業の対策方法を詳しく解説!

健康診断のバリウム検査は拒否できる?|企業の対策方法を詳しく解説!

厚生労働省の労働安全衛生法第66条により、企業は従業員に対して健康診断を実施することが義務付けられています。従業員が健康であることは企業にとっても重要なポイントであり、企業の成長や発展に欠かせません。

企業が実施する健康診断の項目のひとつに、バリウム検査が挙げられます。バリウム検査は、食道や胃、十二指腸などの疾患の早期発見に有用です。しかし、バリウム検査を拒否する従業員は少なくないため、企業は、検査拒否の対策を講じることが求められます。

本記事では、バリウム検査についての詳細やバリウム検査を拒否された場合の企業の対策方法について解説します。

バリウム検査とは

バリウム検査の正式名称は上部消化管造影検査であり、胃の粘膜にバリウムを付着させ、レントゲンで胃の形や粘膜の状態を確認する検査を指します。この検査方法は、通常のX線写真と異なり、X線を連続して照射しながら行うため、リアルタイムで胃の動きや全体像を観察する事ができます。

バリウム検査の目的

バリウム検査の目的は、胃・食道・十二指腸のがん疾患のほか、胃潰瘍や胃炎、ポリープなどを早期発見することです。隆起型の病気が疑われる箇所では、レントゲンでバリウムがはじかれているように写り、陥凹(かんおう)型の病気の場合では、バリウムが溜まっているように現れます。

バリウム検査の流れ

バリウム検査の流れは以下の通りです。

【検査前日】
・アルコールの摂取や脂肪分の多い食事を避けて早めに済ませる。

【検査当日】
・胃の粘膜にバリウムがつきにくくなるため、検査当日は何も食べてはいけない。

・水やお茶に限り、健診2時間前を目安に飲むことができる。

【検査手順】
①胃を膨らませるための発泡剤を少量のバリウムで飲む。その際、胃が膨らみゲップが出やすくなるため注意が必要。

②残りのバリウムを指示に従ってのみ、検査台に立つと台が倒れる。

③バリウムを胃壁全体に満遍なく付着させるために、検査台の上で体位変換を右回りで3回転行う。

④検査台を立ててお腹を圧迫筒という装置で押さえる。そうすることで、胃の粘膜が押し広げられ、普通の撮影で分かりにくい箇所の病変を発見できる。

検査後は下剤を服用し、バリウムが全て体内から排出されたら検査の全行程が終了です。

>>企業向け健康診断における適切な服装と当日の流れの解説

バリウム検査のデメリット

バリウム検査のデメリットは、受診者の胃液の分泌が多い場合、胃の粘膜の状態の正確な検出することが難しく、検査の制度が落ちる場合があることです。

また、便秘になりやすい人や検査後に水分を十分にとらない人は、検査後にバリウムが円滑に排出されず、腹痛を起こしたり、腸閉塞や消化管穿孔、消化管出血などを引き起こす可能性もあります。

さらに、健康上大きな問題にはなりませんが、バリウム検査では放射線被爆(3~4mSv)を伴います。この他、喘息やアトピー疾患の人などバリウムに過敏に反応しやすい人は、冷や汗が出る、呼吸が苦しくなる、などの症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。

以上のようなデメリットから健康診断を受ける際に、バリウム検査を拒否する従業員は多いです。

企業の健康診断におけるバリウム検査の受診義務

企業の健康診断における受診項目

企業は従業員に健康診断を実施する義務がありますが、健康診断の必須項目に胃の検査は含まれていません。企業が実施する一般健康診断である雇入れ時健康診断定期健康診断の受診項目は以下の通りです。

雇入れ時健康診断

  1. 既往歴、業務歴の調査
  2. 自覚症状、他覚症状(所見)の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力、聴力(1,000~4,000Hz)の検査
  4. 胸部X線検査
  5. 血圧測定
  6. 貧血検査(Hb、RBC)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT)
  8. 血中脂質検査(TG、HDL-cho、LDL-cho)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(糖、蛋白)
  11. 心電図検査(安静時)

定期健康診断

  1. 既往歴、業務歴の調査
  2. 自覚症状、他覚症状(所見)の有無の検査
  3. 身長、体重、視力、腹囲、聴力(1,000~
    4,000Hz)の検査
  4. 胸部X線検査及び喀痰検査
  5. 血圧測定
  6. 貧血検査(Hb、RBC)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT)
  8. 血中脂質検査(TG、HDL-cho、LDL-cho)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(糖、蛋白)
  11. 心電図検査(安静時)

このように、一般健康診断の受診項目に胃の検査はありません。そのため、バリウム検査は、法定外項目であり、従業員に受診義務は課されていません。しかし、従業員が定期的に胃の検査を受けることは、従業員の健康増進に効果的であり、組織の活性化や業績向上を計るために重要です。

>>企業向け健康診断における法律上の実施義務と注意点

バリウム検査が受診項目に存在する生活習慣病予防健診断

生活習慣病予防健診は、全国健康保険協会(協会けんぽ)が実施している健康診断です。この健康診断は、一般的な健康診断より検査項目が多く、より詳細に身体の検査ができます。

対象者

生活習慣病予防健診の対象者は以下の両方の項目に該当する方です。

・35歳以上74歳未満の人
・協会けんぽの被保険者

受診項目

生活習慣病予防健診の受診項目は以下の通りです。

  1. 診察等
  2. 身体計測
  3. 血圧測定
  4. 尿検査
  5. 便潜血反応検査
  6. 血液検査
  7. 心電図検査
  8. 胸部レントゲン検査
  9. 胃部レントゲン検査(バリウム検査)

受診料の補助

協会けんぽの生活習慣病予防健診では、受診料の補助を各都道府県ごとに実施しています。例えば、協会けんぽの愛知支部では、2024年度に1回限りで、約14,000円もの受診料を補助しています。

企業が実施する健康診断として生活習慣病予防健診を設定した場合、企業側が負担する健康診断の受信料を削減することが可能です。

バリウム検査を拒否された場合の企業の対策方法

従業員への情報提供と教育

従業員にバリウム検査の重要性を理解してもらうための情報提供は、受診率向上の鍵となります。検査を受けるメリットを従業員に配布することが効果的です。具体的には、疾患の早期発見や予防の重要性についての詳細な資料を配布することが挙げられます。また、検査に関する誤解を解消する面談を定期的に開催し、従業員からの質問に直接回答することで、検査への抵抗感を軽減することができます。

代替検査の提案

バリウム検査に拒否感を抱いている従業員には、代替検査として胃カメラを提案することが効果的です。これにより、従業員が自分に適した検査方法の選択が容易になり、受診率の向上が期待できます。バリウム検査と胃カメラ検査はそれぞれ特徴があり、その詳細を比較した表が以下になります。

バリウム検査比較胃カメラ検査
胃がん発見率0.066%
検診受診者約387万人中、約2,500人で胃がん発見
0.163%
検診受診者約37万人中、約610人で胃がん発見
費用約10,000円~15,000円約10,000円~20,000円
検査の容易さ病院に行かなくても、検診車の中に撮影するための機械を乗せることで、病院外でもバリウム検査を行える。病院やクリニックに行かなければ検査を受けられない。
体への負担・放射線被曝のリスクがある。

・バリウムによる便秘が発生・悪化する場合がある。

・冷や汗/呼吸困難(喘息やアトピー疾患の人などバリウムに過敏に反応しやすい人)
・咽頭反射(嘔吐反射)などで苦痛を伴う検査になりやすい。(ただし、鎮静剤を使用すれば苦痛のない検査を受けることが可能)

このようにバリウム検査と胃カメラ検査は、それぞれ長所と短所が異なります。従業員の希望に沿った検査方法を提供することで、胃の検査の受診率向上が見込めます。

受診日の柔軟な調整

従業員がバリウム検査を受診しやすい環境の整備は、受診率向上に不可欠です。例えば、勤務時間中に検査を受けられるようにスケジュールの調整を行う、検査費用の一部を会社が負担するなどが挙げられます。これらの取り組みは、従業員の健康維持を促進するだけでなく、企業の生産性の向上や社員の満足度の向上にもつなげられます。

従業員が容易に予約できる医療機関の選定

健康診断の予約が円滑にできなければ、従業員の健康診断を受診する意欲が低下します。そのため、企業が健康診断を受診する医療機関を指定する際には、電話やメールでの予約受付だけでなく、ネット予約にも対応した機関を選ぶことが重要です。特に、予約システムを導入している医療機関選定することで、健康診断の予約手続きを円滑化できます。

>>企業向け健康診断における予約システム活用と診断項目の解説

企業の健康診断向け予約システムとは

企業は、健康診断を受診する医療機関として「健康診断の受付に特化した予約システム」を導入している機関を指定することで、予約時に掛かる従業員への負担をより軽減できます。ここでは、健康診断の受診予約を円滑化に特化した予約システムの機能ついて解説します。

予約システム導入のメリット

予約システムを導入することで、健康診断の無人受付において大きな手助けとなります。以下は、そのなかでも特に効果的なメリットです。

・業務効率化
予約システムは予約受付や受診者の情報を自動で管理します。人の手により紙やExcelで管理する必要がありません。書き間違いや聞き間違いなどの人為的ミスも発生しなくなり、正確で効率的な健康診断における受付の運営が実現します。

・費用削減
予約システムの自動管理機能は、費用の削減にも効果的です。予約や受診者の情報はデータ化されるため、大量の紙や管理するスタッフに費やしていた経費は低減されます。

・患者体験の向上
予約の確認や変更をオンラインでかんたんに行えることで、受診者の利便性が向上します。また、待ち時間の短縮やスムーズな受付が実現し、受診者満足度も高められます。

企業の健康診断に役立つ予約システムの機能

予約システムは数多く存在しており、それぞれ搭載している機能は違います。下記に、企業の健康診断に役立つ予約システムの機能を紹介します。

予約リマインドメール機能

予約リマインドメール機能は、予約が完了した受診者に予約状況の再確認通知を配信する機能です。この機能により、多忙な日常の中で忘れがちな従業員に、健康診断の日程を思い出させます。

Googleカレンダー連携機能

Googleカレンダー連携機能は、予約サイトで受け付けた予約をGoogleカレンダーに反映し、Googleカレンダーの予定をRESERVAの予約カレンダーに反映する機能です。従業員は手動で入力する手間を省くことができ、日程の管理が楽になります。

キャンセル待ち機能

キャンセル待ち機能は、予約が埋まっている予約枠にキャンセルが生じた際、キャンセル待ちをしている予約者に対して通知を自動で送る機能です。忙しい従業員でも予約を確保しやすくなります。

予約時アンケート機能

予約時アンケート機能は、予約受付時に事前アンケートの入力を促す機能です。事前にアンケートを入力してもらうことで、予約者の軽い問診を行うことができ、円滑な健康診断の実施につなげられます。

まとめ

本記事では、バリウム検査についての詳細や、バリウム検査を拒否された場合の企業の対策方法について解説しました。企業はバリウム検査の実施義務がありませんが、従業員が定期的に胃の検査を受けることは、従業と企業の双方にとって非常に重要です。そのため、従業員にバリウム検査を拒否された場合、企業は適切な対策方法を講じることが求められます。

従業員のバリウム検査の受診率の向上にお悩みの人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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