健康経営の実現へ!健康診断の受診率を上げるために企業が取り組むべき施策6選

健康経営の実現へ!健康診断の受診率を上げるために企業が取り組むべき施策6選

近年、日本では労働者の健康管理を経営的な視点で捉えられ、戦略的に実践する「健康経営」が、少子高齢化による労働力不足を背景に推進されています。企業理念に基づき、労働者への健康投資を行うことは、労働者の活力や生産性の向上など、組織の活性化にも効果的です。

健康経営を実現させるためには、健康診断の受診率の向上が欠かせません。経済産業省の健康経営優良法人認定制度では、健康診断の受診率が高いこと(実質100%)が認定基準のひとつとして定められています。健康経営優良法人に認定されることで、金利や融資の優遇措置や保険料の減額など、企業は自治体や金融機関が設けたさまざまなインセンティブを受けられます。

本記事では、健康診断の受診率を下げている原因から健康診断の受診率を向上させる6つの施策について解説します。また、企業の健康診断向け予約システムを紹介します。

>>企業の健康診断費用について解説

企業の健康診断の実施は義務

労働安全衛生法第66条により、企業は労働者に対して健康診断を実施することが義務付けられています。労働者は正社員に限らず、労働時間や契約期間が一定の要件を満たした契約社員やパート、アルバイトも含みます。

また、同法66条において、労働者にも企業が行う健康診断の受診義務が課せられています。労働者が健康診断を受診しなかった場合、労働者に罰則が課されることはありません。一方で、企業が労働者の健康診断の未受診を放置し、健康障害が発生した場合、労働契約法第5条の定めにより、企業が安全配慮義務違反となる可能性があります。

>>健康診断の義務と実施に関する企業の取り組み

>>企業健康診断を受けないとどうなる?リスクや受けるメリットを解説!

企業が実施すべき健康診断とは

企業が実施すべき健康診断は、いくつかの種類に分けられます。

一般健康診断

一般健康診断は、職種や業務内容、勤務時間に関係なく実施する健康診断です。一般健康診断には以下の5種類があります。

対象となる労働者実施時期
雇入時の健康診断常時使用する労働者・雇入れの際
定期健康診断常時使用する労働者(次項の特定業務従事者を除く)・1年以内ごとに1回
特定業務従事者の健康診断体に著しい振動を与える業務や、有害物質を扱う業務等、特定業務の従事者・左記業務への配置替えの際
・6月以内ごとに1回
海外派遣労働者の健康診断海外に6か月以上派遣する労働者・海外に6月以上派遣する際
・帰国後国内業務に就かせる際
給食従業員の検便事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者・雇入れの際
・配置替えの際

特殊な健康診断

有害な業務に常時従事する労働者等に対してのみ実施する、特殊な健康診断も存在します。以下の健康診断は、特定の業種や職種、作業内容に関連する健康リスクに特化した健康診断です。

対象となる労働者
特殊健康診断・屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者
・鉛業務に常時従事する労働者
・四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者
・特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者及び過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る)
・高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者
・放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者
・除染等業務に常時従事する除染等業務従事者
・石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者及び過去に従事したことのある在籍労働者
じん肺健康診断・常時粉じん作業に従事する労働者及び従事したことのある管理2又は管理3の労働者
注:じん肺の所見があると診断された場合には、労働局に健康診断の結果とエックス線写真を提出する必要がある
歯科医師による健康診断・塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者

健康診断の受診率の現状

厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、2019年度において、20歳以上で過去1年間に健康診断や人間ドックを受けたことがある人は、男性が74.0%、女性が65.6%でした。健康診断の受診率は、法律で義務付けられているにも関わらず100%ではありません。そのため、企業は健康診断の受診率を下げている原因を明らかにして、適切な施策を打ち出す必要があります。

健康診断の受診率が下がる原因

健康診断の受診率を下げている原因は以下の通りです。

健康診断を受診する時間の不足

労働者が健康診断を受診しない理由として最初に挙げられる原因が、健康診断を受診する時間の不足です。多忙な日常の中で、健康診断を受ける時間を確保することが難しい労働者は多いです。特に仕事の繁忙期と健康診断の時期が重なると、受診できないケースがあります。

健康診断を受診する時間を確保することは、企業側が対策すべき大きな課題のひとつです。

健康診断の軽視

健康診断の重要性を理解せずに、煩わしいことを理由に受診しない労働者も存在します。

また、法律で定められている労働者の受診義務を把握せず、自身にとって必要なタイミングで医療機関を受診しようと考える人も少なくありません。健康診断を通じて早期に疾患を発見し、適切な対策を講じることが重要であり、この点の周知が不十分であることが課題です。

健康診断の受診における障害

健康診断を受けようと思っても、近くに適切な医療機関がない、または予約が取りにくいなどの問題が、健康診断の受診の障害となる場合があります。多忙で十分な時間を確保することが難しい労働者の場合、健康診断を受ける際に掛かる負担が、健康診断を受診するかどうかの意思決定に大きく関わります。

そのため、企業は労働者が健康診断を受診する際に掛かる負担を、予約体制やサポート体制を整えることで、可能な限り減らすことが大切です。

病気の発覚への恐怖

労働者が、病気の発覚を恐れて健康診断の受診を避ける場合もあります。また、健康診断の結果が昇進に影響するなど、人事評価に不利益に働くのではないかと考え、健康診断を受診しない労働者も珍しくありません。

企業は、労働者が安心して健康診断を受診できるような環境整備に心がけることで、受診率の向上につなげられます。

健康診断の受診率を向上させる6つの施策

健康診断の受診率を下げている原因を解消し、受診率の向上につなげられる施策を6つ紹介します。

1.健康診断を受診しない理由のヒアリング

労働者が健康診断を受診しない理由を理解することは、受診率を上げる効果的な対策を打ち出す上で非常に重要です。個別の面談やアンケート調査を通じて労働者の意見を収集し、その受診の障壁となる要因を明確にします。このデータ収集をもとに、労働者に合った施策を計画することが可能です。

2.健康診断に関する就業規則の強化

健康診断の受診義務に関する項目を就業規則に定めることで、労働者の健康診断に対する捉え方を改善できます。前述の通り、健康診断を軽視して煩わしいことを理由に受診しない労働者も存在します。就業規則で「健康診断の受診命令に従わない従業員に対しては懲戒処分を行う」などの旨を定めておくことが、労働者の健康診断に対する意識の改革に効果的です。

3.労働者の仕事量・日程の調整

労働者が健康診断を受診する時間を確保するためには、仕事量の見直しや日程調整が必要です。健康診断の日を特別休暇とすることで、全ての労働者が気軽に受診できるような環境を整えられます。このような取り組みによって、労働者の健康診断受診へのハードルを下げることが可能です。

4.健康診断受診の重要性の提示

労働者に健康診断を受診する大切さを提示することで、診断率の向上につなげられます。健康診断を受診しない労働者の中には、「自身は健康なためわざわざ診断を受診する必要がない」と考えている人もいます。そういった労働者に健康診断による早期発見や病気予防の重要性を事例を交えて伝えることで、労働者の受診意欲を高められます。

5.健康診断の受診に関連する福利厚生の強化

健康診断を受診した労働者を対象とした、福利厚生の充実を図ることも受診率の向上に効果的です。健康診断が完了した者への福利厚生ポイントの付与や、健康関連サービスへの優待などの具体的な特典を提供することで、受診を促進できます。例えば、通常よりも割安の料金で健康施設を利用できる制度を導入することで、労働者の健康意識を高められます。

6.労働者が容易に予約できる医療機関の選定

健康診断の予約が円滑にできなければ、労働者の健康診断を受診する意欲が低下します。そのため、企業が健康診断を受診する医療機関を指定する際には、電話やメールでの予約受付だけでなく、ネット予約にも対応した機関を選ぶことが重要です。特に、予約システムを導入している医療機関選定することで、健康診断の予約手続きを円滑化できます。

企業の健康診断向け予約システムとは

企業は、健康診断を受診する医療機関として「健康診断の受付に特化した予約システム」を導入している機関を指定することで、予約時に掛かる労働者への負担をより軽減できます。ここでは、健康診断の受診予約を円滑化に特化した予約システムの機能ついて解説します。

予約リマインドメール機能

予約リマインドメール機能は、予約が完了した顧客に予約状況の再確認通知を配信する機能です。この機能により、多忙な日常の中で忘れがちな労働者に、健康診断の日程を思い出させます。

Googleカレンダー連携機能

Googleカレンダー連携機能は、受予約サイトで受け付けた予約をGoogleカレンダーに反映し、Googleカレンダーの予定をRESERVAの予約カレンダーに反映する機能です。労働者は手動で入力する手間を省くことができ、日程の管理が楽になります。

キャンセル待ち機能

キャンセル待ち機能は、予約が埋まっている予約枠にキャンセルが生じた際、キャンセル待ちをしている予約者に対して通知を自動で送る機能です。忙しい労働者でも予約を確保しやすくなります。

予約時アンケート機能

予約時アンケート機能は、予約受付時に事前アンケートの入力を促す機能です。事前にアンケートを入力してもらうことで、予約者の軽い問診を行うことができ、円滑な健康診断の実施につなげられます。

まとめ

本記事では、労働者が健康診断を受診しない原因と、受診率をアップさせるために企業が実施すべき施策について解説しました。健康経営の実現には健康診断の受診率の向上が欠かせません。適切な施策を講じることで、健康経営を推進でき、労働者の活力や生産性の向上など、組織の活性化につなげられます。

>>企業向け健康診断における法律上の実施義務と注意点

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