外国籍社員に対する健康診断の実施は必須?注意点やポイントを解説

外国籍社員に対する健康診断の実施は必須?注意点やポイントを解説

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」によると、令和5(2023年)10月時点における外国人労働者数は204万8,675人であり、前年から22万5,950人増加しました。外国人雇用の届出が義務付けられた平成19年(2007年)以降、過去最高値となります。

このような国内における外国人労働者の増加に伴い、企業側は外国人材の受け入れに向けた適切な準備を行う必要があります。その中でも特に重要なものは、健康診断です。企業が外国籍社員の健康を守ることは、社会的責任の一環となります。

本記事では、外国籍社員に対する健康診断の必要性、健康診断の項目、外国籍社員に対する健康管理の注意点、健康診断の具体的なフローについて解説します。そして、企業向け健康診断における予約システムの目的や導入メリットについても紹介します。

外国籍社員に対する健康診断の必要性

法律的要件

外国人労働者安全管理支援事業の「外国人労働者安全衛生管理の手引き」によると、定期的な健康診断の受診義務は日本国籍を持っている従業員だけでなく、外国籍社員にも適用されます。

外国籍社員の中には、来日前に母国で健康診断を受診する人もいます。しかし、日本と同様の健康診断制度を持つ国は少ないため、日本で健康診断を再受診するケースがほとんどです。

企業の責任

企業は、国籍に関わらず従業員の健康と安全を確保する責任があります。これには、定期的な健康診断の実施が含まれます。企業は、各従業員に対して平等に健康診断を提供し、その結果に基づいて必要な対策を講じる義務があります。従業員が健康に働ける環境を整えることは、企業の持続的な成長にもつなげられます。

健康診断のメリット

健康診断の実施には、以下のようなメリットがあります。

早期発見と予防
定期的な健康診断により、病気や健康リスクを早期に発見することができます。特に、日本の医療システムに不慣れな外国籍社員にとって、健康診断は重要な健康管理の手段となります。

職場の生産性向上
定期的な健康診断を行うことで、病気の早期発見や予防ができ、従業員の欠勤率の低下や職場の生産性向上につなげられます。

離職率の低下
従業員の健康管理に積極的に取り組む企業は、従業員からの信頼が高まり、離職率の低下につながります。特に、健康管理に配慮する企業は働きやすい職場と感じられ、定着率の向上が期待されます。

>>企業向け健康診断における法律上の実施義務と注意点
>>健康診断の義務と実施に関する企業の取り組み

健康診断の項目

一般健康診断は次の11項目について健康状態を検査します。

既往歴、業務歴の調査既往歴は、過去に大病を患った、または大きな手術をした、現在治療中の病気に関して記載する。業務歴は、過去についた職業で健康に影響を及ぼす職歴があるかを、本人から聞いたのち医師が記入します。
自覚症状、他覚症状(所見)の有無の検査自覚症状は、普段から認識できている身体の不具合や不調などを指します。他覚症状とは、医師など第三者が見てもわかるような症状のことで、こちらの場合、医師の所見で判断されます。
身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査身体の基本的な情報です。体重制限のある場所への立ち入りや機械操作など、職種によって身長や体重が重視される場合もあります。また、腹囲では内臓脂肪型肥満を判断することもできます。
胸部X線検査、喀痰検査胸部X線検査は、肺や心臓など器官に異常がないかどうかを判断します。喀痰検査は、痰を検査し肺がんの早期発見に重要な検査です。
血圧測定高血圧か低血圧かを判断します。収縮期が130未満、拡張期は85未満が判断基準です。
貧血検査臓器に障害がある場合、症状の進行具合や規模を判断します。ヘモグロビン量や濃度から、貧血かどうかもわかります。
肝機能検査血液中の酵素や肝障害などについての検査です。アルコールによる影響などを判断します。
血中脂質検査血中脂質(血液内のコレステロール)の量が正常であるかを検査します。数値が高すぎる場合、動脈硬化や脳梗塞などのリスクがあります。
血糖検査血液中のブドウ糖から糖尿病リスクを判断します。血糖値を一定に保つインスリンの働きも判断されます。
尿検査尿内の糖やタンパク質からあらゆる疾病のリスクを検査します。
心電図検査心臓の拍動による電気の流れを見て、心臓の異常や疾病を検査します。

外国籍社員に対する健康管理の注意点

コミュニケーションの配慮

日本語が苦手な外国籍社員のために、健康診断の際に通訳サービスを利用することが有効です。医師の説明が正確に伝わり、社員が自身の健康状態を理解する助けとなります。

加えて、書面での多言語説明資料を渡すことも効果的です。健康診断の内容や流れ、注意点などが記載された資料を事前に提供することで、社員は安心して診断を受けることができます。

メンタルヘルスのケア

外国籍社員が異国での生活や職場環境への適応に困難を感じることは少なくありません。産業医やカウンセラーのサポートを得られるように、外国籍社員が気軽に相談できる場を作ることが重要です。

企業はこれらの施策を積極的に導入し、社員が安心して働ける環境を提供することが求められます。

継続的な健康管理支援

外国籍社員の健康管理は、一度限りの取り組みではなく、継続的な支援が重要です。定期的な健康診断の実施やフォローアップの体制を整えることで、社員の健康状態を長期的に維持することができます。

また、適切な労働時間管理と休暇制度の提供により、外国籍社員が十分な休息を取れる就労環境も求められます。

ストレス管理

外国籍社員にとって、異文化での生活はストレスの原因となることがあります。ストレス管理は、外国籍社員の健康状態を維持するために重要です。企業は、定期的なストレスチェックやストレス軽減に役立つイベントや行事を開催することが推奨されます。

健康診断の具体的なフロー

①企業側の事前準備

外国人従業員が検診の詳細を理解できるように、案内資料や説明書を多言語で準備します。例えば、従業員に対して健康状態やアレルギー、持病などに関する事前アンケートを多言語で用意することが重要です。

また、企業は文化や宗教上の背景を理解することも不可欠です。従業員の中には断食や特定の食材を避ける宗教的な習慣がある場合、その日程を考慮して検診をスケジューリングする必要があります。

②健康診断の実施

健康診断の実施に向けて、事前に計画を立て、外国籍社員が安心して受けられる環境を整えます。検診当日に通訳が必要な場合、事前に通訳者を手配します。社内に多言語に対応できるスタッフがいる場合、サポート役として配置することも効果的です。

③診断後の再検査とフォローアップ

必要な再検査や治療が必要な場合、その手続きと具体的な方法を外国籍社員に案内します。

再検査の予約:健康診断の結果で基準値から大きく外れた異常値が出た場合、再検査を受けることが推奨されています。また、診断結果の数値が基準値を少しでも超えた場合でも、再検査が推奨されることがあります。

フォローアップの計画:健康問題が発見された外国籍社員に対し、継続的なサポートとフォローアップの計画を立てます。企業は定期的なヘルスチェックや相談の場を提供することが重要です。

>>健康診断後の再検査とは?:実施義務の有無や注意点を解説
>>健康診断の対象者と範囲について分かりやすく解説

企業の健康診断向け予約システムとは

健康診断の予約システムを導入している医療機関を指定することで、企業は従業員の予約に掛かる負担を軽減できます。ここでは、健康診断の受診予約を効率化する予約システムの機能について解説します。

顧客データCSV出力機能

顧客データCSV出力機能は、Excelやスプレッドシートなどのあらゆる表計算ソフトにインポートすることで、顧客情報をCSVファイル形式で出力することできる機能です。詳細を絞り込んで顧客データをダウンロードすることも可能なため、健康診断の運営効率を高めることが可能です。

残席数表示機能

残席表示機能は、予約可能な残席数を予約サイト画面上に表示する機能を指します。予約の可否のみならず、予約枠に対する残席数を可視化でき、空き状況を可視化することが可能です。

人数制限機能

RESERVAでは日にち、時間ごとに予約上限人数が設定でき、上限に達した際に、自動的に予約受付が締め切られます。診療プランごとに人数制限を変えることも可能です。

Googleカレンダー連携機能

Googleカレンダー連携機能は、予約サイトで受け付けた予約をGoogleカレンダーに反映し、Googleカレンダーの予定をRESERVAの予約カレンダーに反映する機能です。手動でカレンダーに情報を入力する手間を省くことができ、日程の管理が楽になります。

まとめ

本記事では、外国籍社員に向けた健康診断の実施に向けたポイントと重要性について解説しました。外国籍社員向けの企業健康診断は、法律的要件と企業としての責任を遵守し、社員の健康管理を適切に行うために重要です。

企業は外国籍社員に対して適切なサポートを行っていくことで、社員の生産性向上にもつなげられます。各企業は外国人材を受け入れる前に事前準備が重要となります。

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